「実践のないところに歴史はない。」 ― サルトル

この具体的な姿を見失うと、単なる物事としてしか人間は歴史に登場してこないことになる。
 
実践がないところに歴史があるとすれば、人間は歴史経済的諸条件によって全面的に決定されてしまうことになるし、条件反射の総計でしかないことになる。
 
しかし相反する分子力の均衡からは歴史は生じない。
歴史は、企てがあり、超出があり、実践があるところににしか存在しない。

人間は何よりもまず一つの状況の超出、換言すれば、自己がそれたらしめられたところのものを似て、自ら何を作ることができるかによって特徴づけられる。